- Ⅲ 「知っている」と「できる」は違う
- 1.「知っている」ことは、スタート地点
- 2.知識が増えるほど、できるようになるとは限らない
- 3.「わかる」と「再現できる」も違う
- 4.技術は、頭だけでは身につかない
- 5.「できない」のではなく、「まだできるところまで来ていない」
- 6.「できるようになる」ためには、具体的にやってみる
- 7.「できる」ようになると、自分で考えられる
- 8.ビジネスでも、「知っている」と「できる」は違う
- 9.「価格をつけることを知っている」と「価格を決められる」は違う
- 10.「SNSを知っている」と「発信できる」も違う
- 11.「誰に届けるかを知っている」と「その人に届くものを作れる」は違う
- 12.知識を集めるだけでは、前に進まない
- 13.「できる」はゴールではない
- 14.知識を「自分の力」に変える
- 15.今日からできる小さな実践
- 16.「知っている人」から「できる人」へ
Ⅲ 「知っている」と「できる」は違う
「勉強しているのに、なかなか結果につながらない」
「本や動画を見て、知識は増えているはずなのに、自分ではうまくできない」
「他の人がやっていることは理解できるのに、いざ自分でやろうとすると難しい」
「頭ではわかっているのに、行動に移せない」
そんな経験はありませんか?
マクラメを学んでいる人にも、作家として活動している人にも、よくあることです。
新しい結び方を知った。
作品の作り方も理解した。
SNSの発信方法も勉強した。
価格設定についても調べた。
写真の撮り方も、本や動画で学んだ。
それなのに、
「なぜか自分ではできない」
「知識はあるのに、結果が出ない」
ということがあります。
その理由の一つは、
「知っている」と「できる」は、同じではないからです。
知識を得ることは、もちろん大切です。
でも、知識を持っているだけでは、まだ自分の力にはなっていません。
「知っている」から「やってみる」へ。
「やってみる」から「できる」へ。
そして「できる」から「自分で考えて使える」へ。
この段階を一つずつ進んでいくことが、作家として成長するということなのです。
1.「知っている」ことは、スタート地点
例えば、マクラメの「平結び」を知っているとします。
結び方を見ればわかる。
手順を説明することもできる。
動画を見れば、「ああ、この結び方ね」と理解できる。
でも、それだけでは、まだ「使える」とは限りません。
実際にコードを持ってみると、
「どっちのコードを動かすんだっけ?」
「結び目が斜めになってしまう」
「力加減が毎回違う」
「同じ幅で揃えられない」
ということが起こります。
さらに作品を作る段階になると、
「この部分にライン結びを使いたいけれど、何回結べばいい?」
「幅を広げるにはどうしたらいい?」
「天然石の大きさに合わせるには?」
といった判断も必要になります。
つまり、
「結び方を知っている」ことと、「作品の中でその技法を使える」ことは別なのです。
これは、マクラメに限った話ではありません。
写真の撮り方を知っていても、実際に商品写真を撮れるとは限らない。
価格設定の方法を知っていても、自分の商品に価格をつけられるとは限らない。
SNSの投稿方法を知っていても、継続して発信できるとは限らない。
知識は、あくまでスタート地点です。
2.知識が増えるほど、できるようになるとは限らない
作家活動をしていると、「もっと勉強しなければ」と思うことがあります。
新しい技法を学ぶ。
新しい材料を知る。
SNSのアルゴリズムについて調べる。
マーケティングを勉強する。
写真の撮り方を学ぶ。
ブランディングについて調べる。
もちろん、学ぶことは大切です。
ただし、ここには一つ注意が必要です。
知識を増やすことと、実力が増えることは同じではありません。
例えば、SNSについて10冊の本を読んだとしても、実際に投稿しなければ「発信できるようになった」とは言えません。
価格設定についてたくさん勉強しても、自分の商品について、
「この作品は10,000円です」
と自分で価格を決めて販売してみなければ、価格をつける力は身につきません。
写真について学んでも、実際に撮影して、
「この角度だと天然石がきれいに見える」
「この背景だと作品の雰囲気が伝わらない」
と試してみなければ、自分に合った撮影方法はわかりません。
だからこそ、
学んだら、できるだけ早く使ってみる。
これが大切です。
3.「わかる」と「再現できる」も違う
成長の過程には、いくつかの段階があります。
見る
↓
わかる
↓
やってみる
↓
できる
↓
応用できる
この違いを意識すると、自分が今どこにいるのかが見えてきます。
例えば、先生が作品を作っているところを見て、
「なるほど、ここでコードを分けるんだ」
とわかった。
でも、自分でやるとできない。
これは、失敗ではありません。
今は「わかる」という段階にいるだけです。
そこで実際に手を動かしてみる。
何度か失敗する。
少しずつ手順を覚える。
同じ作品を何度か作る。
すると、今度は「できる」に近づいていきます。
そして、別の天然石を使ったり、サイズを変えたりしても作れるようになれば、「応用できる」段階です。
この段階を飛ばして、
「一度見たからできるはず」
と思ってしまうと、自分を必要以上に責めてしまいます。
できないのは、才能がないからではなく、
まだ「できる」という段階まで経験していないだけかもしれません。
4.技術は、頭だけでは身につかない
技術を身につけるときには、知識だけでなく「経験」が必要です。
例えば、天然石を使ったアクセサリーを作るとします。
最初はレシピ通りに作る。
次は石の大きさを変えてみる。
その次はコードの色を変えてみる。
さらに、結びの回数を少し変えてみる。
すると、
「この石なら、もう少し細いコードのほうが合う」
「このデザインなら、結び目を減らしたほうが石が引き立つ」
といった感覚が少しずつ身についてきます。
これは、説明を読んだだけでは身につきません。
実際に作ってみたからこそわかることです。
だから、技術を身につけるときは、
知識を得る時間と、手を動かす時間の両方が必要です。
5.「できない」のではなく、「まだできるところまで来ていない」
「何度やってもうまくできません」
そんなとき、
「私は不器用だから」
「センスがないから」
「作家には向いていないから」
と考えてしまうことがあります。
でも、そこで結論を急ぐ必要はありません。
例えば、最初から均一な結び目を作れる人はいません。
何度も作ることで、コードを引く強さがわかってくる。
手の位置が安定してくる。
結び目の形を見て、「少し違う」と気づけるようになる。
そして、自分で修正できるようになる。
つまり、
「できない」→「練習する」→「少しできる」→「安定する」
という過程があります。
大切なのは、「できない自分」を評価することではなく、
「何をすれば、次の段階に進めるか」
を見ることです。
6.「できるようになる」ためには、具体的にやってみる
では、「知っている」を「できる」に変えるには、どうすればいいのでしょうか。
一番シンプルなのは、
学んだことを、すぐに一度使ってみることです。
例えば、平結びを学んだら、
「次の作品で使ってみる」
だけでも違います。
写真の撮り方を学んだら、
「今日、作品を3パターン撮って比較してみる」
価格設定を学んだら、
「実際に一つの商品について原価・制作時間・利益を計算してみる」
SNSについて学んだら、
「今日一つ投稿してみる」
ターゲット設定について学んだら、
「自分の作品を誰に届けたいのか、具体的に一人の人物を想像して文章にしてみる」
という具合です。
ここで重要なのは、完璧にやろうとしないことです。
最初から正解を出す必要はありません。
やってみる。
うまくいかなかったところを確認する。
もう一度やってみる。
この繰り返しによって、「知っている」が「できる」に変わっていきます。
7.「できる」ようになると、自分で考えられる
技術が身につくと、今度は「選ぶ」ことができるようになります。
例えば、
「この天然石には、どんなデザインが合うだろう?」
と考えたとき、
技法を一つしか知らなければ、選択肢は限られます。
でも、いくつかの技法を理解し、それぞれの特徴がわかっていれば、
「この石は存在感があるから、装飾を減らそう」
「この石の形を活かしたいから、ここはシンプルな結びにしよう」
「この部分には少し動きが欲しいから、この技法を入れてみよう」
と考えられます。
ここで初めて、
技術が「表現するための道具」になります。
技術を持っていることが目的なのではありません。
自分が表現したいものを形にするために、技術を使う。
この状態になることが、作家として大きな一歩です。
8.ビジネスでも、「知っている」と「できる」は違う
この違いは、作品づくりだけではありません。
作家活動をビジネスとして考えたときにも、同じことが起こります。
例えば、「自分の商品を販売したい」とします。
販売には、
- 商品写真
- 商品説明
- 価格設定
- 販売場所
- SNSでの発信
- お客様とのやり取り
- 発送
- 売上と経費の管理
など、さまざまな要素があります。
これらについて知識を得ることはできます。
でも、実際に一つの商品を販売してみると、初めてわかることがあります。
「写真を撮るのに思ったより時間がかかった」
「説明文を書くと、自分でも商品の特徴がよくわからない」
「送料まで考えると利益が少ない」
「問い合わせへの返信に時間がかかる」
「思っていたお客様とは違う質問が来た」
こうした経験は、実際にやってみなければわかりません。
そして、一度経験すると、
「次はここを改善しよう」
と考えられるようになります。
だからビジネスも、
知っている → やってみる → できる → 改善する
という流れで成長していきます。
9.「価格をつけることを知っている」と「価格を決められる」は違う
例えば、価格設定について、
「材料費だけでなく、制作時間や利益も考える」
という知識を持っていたとします。
これは大切な知識です。
でも、実際に自分の作品を前にすると、
「この価格では高いと思われないかな」
「こんな金額で販売していいのかな」
「材料費がこれだけだから、もう少し安くしたほうがいいかな」
と迷うかもしれません。
ここで必要なのは、さらに価格設定の記事を100本読むことではない場合があります。
まず一つ、実際に計算してみる。
材料費はいくらか。
制作には何時間かかったか。
販売にかかる経費はいくらか。
自分はどのくらいの利益を残したいのか。
そして、実際に価格をつけてみる。
その結果を見て、改善する。
こうして初めて、
「価格設定について知っている」から「自分で価格を決められる」
へ進むことができます。
10.「SNSを知っている」と「発信できる」も違う
SNSについても同じです。
「作品だけを投稿するより、制作背景や想いも伝えたほうがいい」
と知っている。
でも、実際に投稿しようとすると、
「何を書けばいいかわからない」
となることがあります。
そんなときは、まず一つの作品について、
「なぜこの作品を作ったのか」
「どんな天然石を使ったのか」
「どこを見てほしいのか」
「どんな人に使ってほしいのか」
を書いてみる。
最初から完璧な文章である必要はありません。
一度投稿してみる。
読み返す。
反応を見る。
次の投稿で変えてみる。
これを繰り返すことで、
「発信について知っている人」から
「自分の言葉で発信できる人」
へ変わっていきます。
11.「誰に届けるかを知っている」と「その人に届くものを作れる」は違う
「ターゲットを決めましょう」
という話も、よく聞きます。
でも、
「40代女性」
「天然石が好きな人」
「ハンドメイドが好きな人」
と決めただけでは、まだ十分ではありません。
実際にその人を想像して、
「どんな場面でこのアクセサリーを使うのだろう?」
「何に悩んでいるのだろう?」
「なぜこの作品を選ぶのだろう?」
と考えてみる。
そして、その人に届く写真を撮る。
その人に伝わる言葉を書く。
その人が欲しいと思える商品を作る。
ここまでやって初めて、
「ターゲットを設定した」
ことが、実際の作品や発信につながります。
知識を「行動」に変えることで、初めて意味を持つのです。
12.知識を集めるだけでは、前に進まない
勉強していると、
「もう少し知ってから始めよう」
と思うことがあります。
もう少し技術を覚えてから。
もう少し写真が上手になってから。
もう少しSNSについて勉強してから。
もう少し自信がついてから。
でも、「もう少し」が続くと、いつまでも始められません。
もちろん、準備は必要です。
ただし、
準備が整うのを待つことと、準備しながら実践することは違います。
まず小さくやってみる。
そこでわからないことが出てきたら、必要なことを学ぶ。
学んだら、また使ってみる。
この順番のほうが、知識が自分の力になりやすいです。
13.「できる」はゴールではない
ここで、もう一つ大切なことがあります。
「できるようになれば、それで完成」
というわけではありません。
例えば、レシピ通りに作品を作れるようになった。
これは大きな成長です。
でも、作家として活動するなら、その先があります。
レシピを少し変えてみる。
天然石を変えてみる。
サイズを変えてみる。
色を変えてみる。
複数の技法を組み合わせる。
そして、
「私は何を表現したいのか」
「この作品を誰に届けたいのか」
を考える。
そうすると、
「できる」から「自分らしく使える」
という次の段階へ進みます。
これは、ビジネスでも同じです。
SNSに投稿できるようになった。
↓
自分の商品に合った発信ができる。
↓
お客様に伝わる発信へ改善できる。
価格をつけられるようになった。
↓
利益や時間まで考えて価格を設計できる。
作品を販売できるようになった。
↓
自分が届けたい価値を考えて、商品を作れる。
このように、「できる」はゴールではなく、次の段階へのスタート地点なのです。
14.知識を「自分の力」に変える
ここまでを整理すると、成長には段階があります。
知る
↓
理解する
↓
やってみる
↓
できる
↓
繰り返す
↓
応用する
↓
自分で考える
↓
自分らしく使う
この流れを意識すると、
「まだできない」
という状態も、少し違って見えてきます。
今は「知っている」段階なのかもしれない。
「わかる」までは来ているけれど、「やってみる」が足りないのかもしれない。
一度はできたけれど、まだ安定していないのかもしれない。
できるけれど、応用した経験が少ないのかもしれない。
そうやって現在地を見れば、
「自分には才能がない」
ではなく、
「次に何をすればいいのか」
を考えられるようになります。
15.今日からできる小さな実践
知識を「できる」に変えるために、今日からできることがあります。
例えば、次のどれか一つだけでも構いません。
技術を学んだら
新しく覚えた技法を、今まで作ったことのない作品に一度使ってみる。
作品づくりを学んだら
同じ技法で、サイズや素材を変えて3パターン作ってみる。
写真を学んだら
同じ作品を、背景や角度を変えて3枚撮って比較してみる。
価格設定を学んだら
実際に一つの商品について、材料費・制作時間・経費を書き出して価格を計算してみる。
SNSを学んだら
「この作品をなぜ作ったのか」を、自分の言葉で一つ投稿してみる。
ターゲットについて学んだら
「この作品を一番届けたいのは、どんな人か」を一人の人物として具体的に書き出してみる。
ブランディングを学んだら
「私は、どんな価値を届けたい作家なのか」を一文で書いてみる。
大切なのは、たくさんやることではありません。
学んだことを、一つでも実際の行動に変えることです。
16.「知っている人」から「できる人」へ
作家として成長していくとき、知識は必要です。
でも、知識を集め続けるだけでは、作品も活動も変わりません。
知ったことを使ってみる。
使ってみて、うまくいかなかったところを知る。
もう一度学ぶ。
また使ってみる。
その繰り返しの中で、知識が少しずつ自分のものになっていきます。
そして、
「知っている」
から、
「できる」
へ。
さらに、
「できる」
から、
「自分で考えられる」
へ。
最後には、
「自分で価値を生み出せる」
ところまで進んでいきます。
これは、作品づくりにも、作家活動にも、ビジネスにも共通することです。
だから、これから何かを学ぶときには、
「私は何を知りたいのだろう?」
だけではなく、
「これを知ったら、何をやってみよう?」
と考えてみてください。
知識は、集めるためだけにあるのではありません。
使うためにあります。
そして、
「知っている」を「できる」に変えるのは、実際にやってみた経験です。
どれだけ知っているかだけではなく、
知ったことを、どれだけ自分で使ってみたか。
そこに、作家としての成長があります。
「知っている人」から「できる人」へ。
そして、「できる人」から「自分で生み出せる人」へ。
その一歩は、いつでも、
「やってみる」
ことから始まります。