第1章「作家になる」とはどういうことか ― 技術者から、価値を生み出す人へ vol.1
Ⅴ 「何を作るか」より「なぜ作るか」
マクラメを学び始めると、最初は「何を作れるようになるか」が大きな関心になります。
どんな結び方ができるようになるのか。
どんな作品を作れるのか。
どんなデザインが人気なのか。
どんなものを販売すればいいのか。
もちろん、これらを知ることは大切です。
でも、作家として活動していくなら、いつまでも「何を作るか」だけを追いかけていると、どこかで行き詰まります。
なぜなら、作品を作る人はたくさんいるからです。
同じ技法を使い、同じような素材を使い、似たような作品を作ることもできます。
その中で「この人の作品が好き」「この人から買いたい」と思ってもらうためには、作品そのものだけではなく、
「なぜ、この作品を作っているのか」
が大切になってきます。
1. 「何を作るか」は、目に見える
「何を作るか」は、とてもわかりやすいものです。
アクセサリーを作る。
バッグを作る。
インテリアを作る。
天然石を使った作品を作る。
作品を見れば、何を作っている人なのかはすぐにわかります。
だから、作家活動を始めたばかりの頃は、「何を作る人なのか」を決めることから考えてもいいでしょう。
ただ、それだけでは、あなたの作品を選ぶ理由にはなりにくいことがあります。
同じものを作っている人は、他にもいるからです。
そこで必要になるのが、
「なぜ、それを作るのか」
という問いです。
2. 「なぜ作るのか」には、その人の価値観が表れる
例えば、同じマクラメアクセサリーを作っているとしても、
「マクラメが好きだから作る」
という人もいれば、
「天然素材の美しさを、日常の中で楽しんでほしいから作る」
という人もいる。
「大人の女性が、気負わず身につけられるアクセサリーを届けたい」
という人もいる。
「忙しい毎日の中で、自分らしさを取り戻せるようなものを作りたい」
という人もいる。
作品そのものが似ていたとしても、そこに込められている思いは違います。
そして、その違いが少しずつ作品のデザインや素材選び、色、写真、言葉、販売方法に表れていきます。
「なぜ作るのか」は、作家の世界観の土台になるのです。
3. 「なぜ」を考えると、作品選びに軸ができる
作家活動をしていると、たくさんの情報が入ってきます。
「今はこれが人気」
「このデザインが売れている」
「この素材が注目されている」
「こういう投稿が伸びている」
そんな情報を見ると、
「私も作ってみよう」
と思うことがあります。
新しいことに挑戦するのは悪いことではありません。
でも、人気だからという理由だけで作品を増やしていくと、少しずつ自分の方向性がわからなくなることがあります。
そんなときに、
「私は、なぜこの作品を作るのだろう?」
と問い直してみる。
すると、
「これは自分が届けたいものとは少し違う」
「この方向なら、自分らしく表現できそう」
という判断ができるようになります。
「なぜ」が、自分の作品を選ぶ基準になっていくのです。
4. 「なぜ」があると、作品に一貫性が生まれる
「なぜ作るのか」が明確になると、作品だけでなく、作家活動全体に一貫性が生まれていきます。
どんな素材を選ぶのか。
どんな色を使うのか。
どんなデザインにするのか。
どんな写真を撮るのか。
どんな言葉で紹介するのか。
どんな人に届けたいのか。
それぞれの判断が、「なぜ」に結びついていきます。
すると、一つひとつの作品がバラバラに存在するのではなく、
「この人らしい」
というまとまりが生まれてきます。
それが、作家の世界観になっていきます。
5. 「なぜ」は、お客様にも伝わる
作品を購入するとき、お客様は必ずしも機能やデザインだけを見ているわけではありません。
「この作品が好き」
「この人の世界観が好き」
「この考え方に共感する」
「この人が作るものだから欲しい」
そんな気持ちが、購入のきっかけになることがあります。
だからこそ、作品の説明も、
「マクラメで作ったアクセサリーです」
だけではなく、
「なぜこの作品を作ったのか」
「どんな人に届けたいのか」
「どんな時間を過ごしてほしいのか」
まで伝えられると、作品に込めた価値が伝わりやすくなります。
商品を説明するのではなく、作品の背景にある想いまで伝える。
それが、作家とお客様をつなぐ言葉になります。
6. 「なぜ」は、売れるためだけに考えるものではない
ここで大切なのは、
「なぜ作るのかを考えれば、売れるようになる」
という単純な話ではないということです。
「売れるために、それらしい理念を作りましょう」ということでもありません。
大切なのは、
自分自身が、なぜこの活動を続けたいのかを知ること。
何を作っているときが一番楽しいのか。
どんな人に喜んでもらえると嬉しいのか。
どんな価値を届けたいのか。
なぜマクラメなのか。
なぜ、作家として活動したいのか。
そこを掘り下げていくと、自分でも気づいていなかった「好き」や「大切にしたいこと」が見えてくることがあります。
それが、作家活動を続けるための軸になります。
7. 「何を作るか」は変わっても、「なぜ」は残る
作家として活動していれば、作るものが変わることもあります。
アクセサリーからインテリアへ。
作品の価格帯が変わる。
素材が変わる。
販売方法が変わる。
活動のステージが変わる。
それは、決して悪いことではありません。
むしろ、経験を積むことで自然に変化していくものです。
そんなときでも、自分の「なぜ」が明確であれば、方向を見失いにくくなります。
「何を作るか」は変わっても、
「私は何を届けたいのか」
が残っていれば、そこからまた新しい作品を生み出すことができます。
8. まとめ
作家として活動するとき、
「何を作ろう?」
と考えることは大切です。
でも、その前に一度、
「私は、なぜこれを作るのだろう?」
と問いかけてみてください。
「何を作るか」は、作品を決めます。
「なぜ作るか」は、作家としての軸を決めます。
そして、その「なぜ」が、
作品のデザインになり、
素材選びになり、
世界観になり、
言葉になり、
お客様に届ける価値になっていきます。
作家として大切なのは、誰よりもたくさんの作品を作ることでも、流行しているものを追い続けることでもありません。
「私は、何を届けるために、この作品を作っているのか」
その問いを持ち続けること。
「何を作るか」から一歩深く、
「なぜ作るか」へ。
そこまで考えられるようになったとき、作品は単なる「もの」ではなく、あなた自身の価値や世界観を伝えるものへと変わっていくのです。
Ⅵ 作家活動をビジネスとして考える
「マクラメが好きだから、作品を販売してみたい」
そう思ったとき、多くの人が最初に考えるのは、
「何を作ろう?」
「いくらで販売しよう?」
「どこで販売しよう?」
ということではないでしょうか。
もちろん、どれも大切なことです。
でも、作家活動を一時的な販売ではなく、「仕事」として続けていきたいと考えるなら、もう一段深く考える必要があります。
それが、
「作家活動をビジネスとして考える」
ということです。
ここでいうビジネスとは、難しい経営理論を学ぶことでも、大きな会社を作ることでもありません。
自分の技術や感性を使って価値を生み出し、それを必要としている人に届け、その対価としてお金をいただく。
そして、その活動を無理なく続けていける状態をつくる。
まずは、そこから始まります。
1. 「作品を作ること」と「仕事にすること」は違う
趣味として作品を作る場合、自分が楽しめることが何より大切です。
「この色が好き」
「このデザインを作ってみたい」
「この結び方を試してみたい」
自分の興味や好奇心を出発点にして、自由に作品を作ることができます。
でも、それを仕事として考え始めた瞬間に、もう一つの視点が必要になります。
「この作品を、誰が必要としているのか?」
という視点です。
自分が作りたいものを作ることと、誰かがお金を払ってでも欲しいと思うものを作ることは、同じではありません。
だからといって、「売れるものだけを作りなさい」ということでもありません。
自分の「好き」や「作りたい」という気持ちを大切にしながら、それを誰かにとっての価値へ変えていく。
そこに、作家活動をビジネスとして考える意味があります。
2. ビジネスとは「売ること」だけではない
「ビジネス」と聞くと、
「どうやって売上を上げるか」
「どうやって集客するか」
「どうやってたくさん売るか」
ということを想像するかもしれません。
もちろん、売上は大切です。
でも、売上だけを追いかけても、長く続く作家活動にはなりません。
大切なのは、
「誰に、どんな価値を届け、その結果として、どのように収益を生み出すのか」
を考えることです。
誰に届けたいのか。
何を届けたいのか。
なぜ自分の作品を選んでもらえるのか。
いくらで届けるのか。
どんな方法で届けるのか。
そして、どれくらい売れれば活動を続けていけるのか。
こうしたことを一つずつ考えていくと、作家活動は「作品を販売すること」から「仕事をつくること」へ変わっていきます。
3.「売れた」だけでは、ビジネスとは言えない
作品が一つ売れた。
イベントでたくさんの商品が売れた。
SNSから注文が入った。
これは、とても嬉しいことです。
でも、たまたま売れたことと、継続的に仕事として成り立つことは違います。
例えば、材料費や送料、販売手数料などを考えたら、ほとんど利益が残っていないかもしれません。
制作に何時間もかかっているのに、その時間を含めると十分な収入になっていないかもしれません。
売れるたびに忙しくなって、制作や発送に追われてしまうかもしれません。
だからこそ、
「いくら売れたか」だけではなく、「いくら残るのか」「どれくらいの時間がかかるのか」まで考えることが必要です。
売上、利益、時間。
この三つを意識するだけでも、作品販売に対する見方は大きく変わります。
4.「価格」は作品の値段だけではない
作家活動をビジネスとして考えるとき、多くの人が悩むのが価格です。
「こんなに高くしていいのかな」
「他の人より高いと売れないかも」
「材料費に少し上乗せすればいいかな」
そんなふうに考えてしまいがちです。
でも、価格は材料費だけで決めるものではありません。
材料費。
制作にかかる時間。
技術。
デザイン。
作品を完成させるまでの経験。
写真や発信、販売にかかる時間。
梱包や発送にかかる費用。
そして、作品を手にした人が得られる価値。
それらを含めて考える必要があります。
価格とは、材料に値段をつけることではなく、自分が提供する価値に値段をつけること。
この視点を持てるようになると、価格に対する考え方も変わっていきます。
5. 「忙しいのに、利益が残らない」を避ける
作家活動を始めると、注文が増えることは嬉しいものです。
でも、注文が増えれば増えるほど幸せになるとは限りません。
制作に追われる。
発送に追われる。
SNSを更新する時間がなくなる。
新しい作品を考える余裕がなくなる。
それなのに、思ったほど利益が残らない。
これは、作家活動を「ビジネス」として考えていないと起こりやすいことです。
だから、
「たくさん売る」より先に、「どうすれば無理なく利益を残せるのか」
を考えることが大切です。
自分が一日に作れる数には限界があります。
使える時間にも限界があります。
だからこそ、自分の時間と技術をどう使うのかを考える必要があります。
6. 作家自身も「経営者の目」を持つ
一人で活動していると、
「私は作家だから、経営のことは苦手」
と思うかもしれません。
でも、自分で作品を作り、自分で価格を決め、自分で販売し、自分で売上を管理するのであれば、規模に関係なく、自分自身がビジネスを動かしています。
だからこそ、
「今、何が売れているのか」
「どの商品に利益があるのか」
「どんなお客様が購入してくれているのか」
「どこからお客様が来ているのか」
「自分はどんな仕事に時間を使っているのか」
を知ることが大切です。
難しい数字をたくさん覚える必要はありません。
まずは、自分の活動を**「作る側」だけでなく「経営する側」から見ること。**
それだけでも、次に何をすべきかが見えやすくなります。
7. 「売ること」は、価値を届けること
作家さんの中には、
「営業するのが苦手」
「売り込むのが嫌」
「自分から買ってくださいと言うのが苦手」
という人もいるでしょう。
でも、「売る」という言葉を少し違う角度から考えてみてください。
本当に必要としている人に、自分の作品の存在を知ってもらう。
作品の魅力を伝える。
どんな想いで作ったのかを伝える。
どんなふうに使えるのかを伝える。
そして、「欲しい」と思った人が安心して購入できる環境をつくる。
これは、無理に売り込むことではありません。
価値を必要としている人に、きちんと届けることです。
作家として仕事をするなら、「売ること」への苦手意識を少しずつ手放していくことも必要になります。
8. ビジネスとして考えると、「やらないこと」も決められる
作家活動を始めると、やりたいことがどんどん増えていきます。
新しい作品を作りたい。
イベントにも出たい。
オンラインショップもやりたい。
SNSも頑張りたい。
ワークショップもしたい。
オーダーも受けたい。
どれも魅力的です。
でも、すべてを一人でやろうとすると、時間もエネルギーも足りなくなります。
だからこそ、
「何をするか」だけでなく、「何をしないか」を決めることもビジネスです。
自分が届けたい価値に必要なことは何か。
今の自分にとって優先するべきことは何か。
そこを考え、選択していく。
「やらないことを決める」のは、可能性を狭めることではありません。
むしろ、自分が本当に大切にしたい活動に時間を使うための選択なのです。
9. 「好き」を続けるために、ビジネスの視点を持つ
作家活動をビジネスとして考えることは、作品を「売上のための道具」にすることではありません。
むしろ反対です。
自分が好きなことを、長く続けていくために必要な視点です。
好きだからこそ、無理なく続けたい。
好きだからこそ、適正な価格で届けたい。
好きだからこそ、自分の時間も大切にしたい。
好きだからこそ、作品を必要としてくれる人にきちんと届けたい。
そのために、売上や利益、価格、時間、販売方法を考える。
これが、作家活動をビジネスとして考えるということなのです。
10. まとめ
作家活動をビジネスとして考えるというのは、
「もっと売らなければいけない」
ということではありません。
自分の技術や感性を価値に変え、それを必要としている人に届け、その活動を継続できる形にしていくこと。
そのためには、
「何を作るか」だけではなく、
「誰に届けるのか」
「なぜ選ばれるのか」
「いくらで届けるのか」
「どのくらいの利益が必要なのか」
「どんな働き方をしたいのか」
まで考えていく必要があります。
作家であることと、ビジネスをすることは、決して相反するものではありません。
むしろ、
「好きなことを、好きなまま長く続けるために、ビジネスの視点を持つ。」
そう考えると、数字や販売について学ぶ意味も変わってきます。
作品を作るだけではなく、作品が生まれ、誰かに届き、その対価が次の作品を生み出す力になる。
その循環を自分でつくっていく。
そこから、作家活動は「趣味の延長」ではなく、一つのビジネスとして育っていくのです。
Ⅶ 作家活動をビジネスとして考える
「マクラメが好きだから、作品を販売してみたい」
そんな気持ちから、作家活動を始める人は多いと思います。
好きなものを作って、それを誰かに喜んでもらえて、さらに収入にもなったら嬉しい。
最初は、そんなところから始まってもいいのです。
けれど、作品を販売することを継続し、作家活動を一つの仕事として育てていくなら、どこかの段階で、「ものづくり」だけではなく「ビジネス」として考える視点が必要になります。
ここでいうビジネスとは、難しい経営学を学ぶことでも、大きな会社を作ることでもありません。
自分の技術や感性から生み出した価値を、必要としている人に届け、その対価を受け取り、活動を続けていける状態をつくること。
これが、作家活動をビジネスとして考えるということです。
1. 「作る」だけでは、仕事にならない
作家活動というと、作品を作ることが中心だと思いがちです。
もちろん、作品がなければ始まりません。
でも、作品を作っただけでは、お客様の手元には届きません。
作品を撮影する。
魅力を伝える。
販売する場所をつくる。
価格を決める。
SNSで発信する。
お客様とやり取りする。
発送する。
売上や経費を管理する。
そして、次に何を作るのかを考える。
こうした一つひとつも、すべて作家活動です。
つまり、
「作ること」は作家の仕事の一部であって、作家の仕事のすべてではありません。
ここを理解することが、趣味から仕事へ進むための大きな転換点になります。
2. 「売れた」だけでは、ビジネスとは言えない
作品が一つ売れる。
これは、とても嬉しいことです。
初めて自分の作品を購入してもらったときの喜びは、作家にとって特別なものです。
でも、一つ売れたことと、作家活動がビジネスとして成り立っていることは同じではありません。
例えば、作品が1万円で売れたとしても、材料費が3,000円、販売手数料が1,000円、送料が1,000円、制作に10時間かかっていたとしたらどうでしょう。
「1万円売れた」という事実だけでは、実際にどれだけの利益が残ったのかはわかりません。
だからこそ、
売上だけではなく、利益や時間まで考えること。
これがビジネスとして考える第一歩です。
3. 「いくらで売るか」ではなく「いくらなら続けられるか」
価格を決めるとき、
「このくらいなら買ってもらえそう」
「他の作家さんがこの価格だから」
と考えてしまうことがあります。
もちろん市場を見ることは大切です。
でも、それだけで価格を決めてしまうと、作れば作るほど苦しくなることがあります。
材料費。
制作時間。
梱包や発送にかかる時間。
販売にかかる手数料。
写真撮影やSNS発信にかかる時間。
そして、自分自身の技術や経験。
これらも含めて、
「この価格で販売して、私は無理なく続けていけるだろうか?」
と考える必要があります。
安く売ることが、お客様にとって親切とは限りません。
作り手が疲弊してしまえば、その活動を続けることができないからです。
4. 「誰に売るか」を考える
ビジネスとして考えるとき、もう一つ重要なのが、
「誰に届けたいのか」
という視点です。
すべての人に好かれる作品を作る必要はありません。
むしろ、
「どんな人に、この作品を使ってほしいのか」
を考えるほど、作品の方向性は明確になります。
例えば、
大人の女性が日常で身につけられるアクセサリーなのか。
天然石が好きな人に向けた作品なのか。
シンプルな服装に合わせたい人のための作品なのか。
個性的なファッションを楽しみたい人に向けた作品なのか。
届けたい人が変われば、デザインも、素材も、価格も、写真も、発信する言葉も変わります。
「誰でもいい」は、実は誰にも届きにくい。
だからこそ、まずは「誰に届けたいか」を考えることが大切なのです。
5. 「売れるもの」ではなく「選ばれる理由」をつくる
ビジネスとして考えると、
「何が売れるんだろう?」
と考えたくなります。
もちろん、市場のニーズを知ることは必要です。
でも、売れているものをそのまま真似するだけでは、長く続く作家活動にはなりにくいでしょう。
なぜなら、同じように考える人がたくさんいるからです。
そこで必要になるのが、
「なぜ、お客様は私の作品を選ぶのか?」
という視点です。
デザインが好きだから。
色合わせが好きだから。
素材へのこだわりが好きだから。
作家の世界観が好きだから。
作家の考え方に共感したから。
「この人の作品だから欲しい」と思ってもらえる理由は、技術だけではありません。
自分にしかない価値を見つけ、それを伝えていく。
そこに、作家としてのビジネスの強さが生まれます。
6. 発信も「営業」ではなく「価値を届ける仕事」
「SNSで販売するのが苦手」
という作家さんも多いと思います。
自分の作品を宣伝することに抵抗を感じる人もいるでしょう。
でも、発信を、
「自分の商品を買ってください」とお願いすること
だと考えると、苦しくなります。
そうではなく、
「私の作品には、こんな魅力があります」
「こんな人に、こんなふうに使ってほしいです」
と伝えること。
それによって、必要としている人が作品を見つけられるようになります。
発信は、売り込むためだけのものではありません。
自分の価値を、必要としている人に見つけてもらうための場所なのです。
7. ビジネスは「売ること」ではなく「価値交換」
ビジネスという言葉に、どこか冷たい印象を持つ人もいるかもしれません。
「好きなことを仕事にしたら、お金のことばかり考えなければならなくなるのでは?」
そんな不安を感じることもあるでしょう。
でも、ビジネスの本質は、単にお金をもらうことではありません。
あなたは、技術と時間と感性を使って作品を作る。
お客様は、その作品によって、
「嬉しい」
「身につけるのが楽しみ」
「自分らしくいられる」
「暮らしが少し豊かになった」
という価値を受け取る。
その価値に対して、お客様がお金を支払う。
これは、単なる「売る・買う」ではなく、
価値と価値の交換です。
だからこそ、自分の作品に適切な価格をつけることは、決して悪いことではありません。
8. 「続けられること」も、立派なビジネスの条件
作家活動を一時的な副収入ではなく、長く続けていきたいなら、
「どうすれば続けられるか」
まで考えることが必要です。
制作時間は無理のない範囲か。
価格は適切か。
販売方法は自分に合っているか。
発信を続けられるか。
お客様との関係を大切にできるか。
自分の生活とのバランスは取れているか。
売上が増えたときにも、同じ方法で続けられるか。
こうしたことを一つずつ考えていくことで、作家活動は「頑張って続けるもの」から、「無理なく続けられる仕組み」へ変わっていきます。
9. 小さく始めても、立派なビジネス
「まだ売上が少ないから、ビジネスなんて言えない」
と思う必要はありません。
最初の一作品を販売する。
一人のお客様に届ける。
材料費と利益を計算してみる。
価格を見直してみる。
SNSで作品の価値を伝えてみる。
お客様の反応を見て、次の作品に活かす。
こうした小さな行動の一つひとつが、ビジネスの経験になります。
大切なのは、売上の大きさだけではありません。
「自分の作品を、どうすれば価値として届けられるか」
を考え、実践し、改善していくことです。
10. まとめ
作家活動をビジネスとして考えることは、
「お金を稼ぐことだけを考える」
という意味ではありません。
自分の技術や感性を価値に変え、その価値を必要としている人に届け、対価を受け取り、活動を続けていける仕組みをつくること。
そのためには、
「何を作るか」だけではなく、
誰に届けるのか。
なぜ選んでもらえるのか。
いくらなら続けられるのか。
どうすれば価値が伝わるのか。
どうすれば無理なく続けられるのか。
まで考える必要があります。
作家活動にビジネスの視点を持つと、「売らなければ」というプレッシャーが増えるのではありません。
むしろ、
「自分の好き」を、どうすれば誰かの「欲しい」に変えられるのか
が見えてきます。
作品を作ることが好きだからこそ、その活動を長く続けたい。
そのために、自分の作品にきちんと価値をつける。
必要としている人に、きちんと届ける。
そして、受け取った対価を次の作品や活動につなげていく。
そこまで考えられるようになったとき、マクラメは単なる「趣味」から、自分の価値を届ける仕事へと変わっていくのです。