Ⅳ 独学で頑張ってきた人ほど、次の壁にぶつかる理由
マクラメを独学で学び、作品を作れるようになった。
自分で動画や本を探して、試行錯誤しながら技術を身につけてきた。
ここまで自分の力で進んできたことは、大きな強みです。
けれど、ある程度できるようになったところで、突然こんな感覚になることがあります。
「ここから先、どうしたらいいのかわからない」
「作品は作れるけれど、自分らしい作品が作れない」
「販売してみたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「SNSを始めても、何を発信すればいいのかわからない」
これは、独学で頑張ってきた人ほどぶつかりやすい壁です。
なぜでしょうか。
1. 独学は「自分で答えを探す力」を育てる
独学の大きなメリットは、自分のペースで学べることです。
興味のある技術や、分からないところは自分で調べて、何度も練習する。
そうやって一つずつできることを増やしていきます。
その過程で身につくのが、
「自分で調べ、自分で解決する力」
です。
これは、作家として活動していくうえで、とても大切な能力です。
誰かにすべて教えてもらわなくても、自分で考えて動ける。
独学でここまで来た人には、すでにその力があります。
2. でも、独学には「全体像が見えにくい」という弱点がある
一方で、独学には難しいところもあります。
それは、
「今、自分に何が足りないのか」がわかりにくいこと。
例えば、技術を学んでいると、
「次はこの結びを覚えよう」
「次はこの作品を作ってみよう」
と、目の前の課題は見つけられます。
でも、
「作家として仕事をするために、今の自分には何が足りないのか」
となると、話は変わります。
技術なのか。
デザインなのか。
コンセプトなのか。
発信なのか。
販売なのか。
価格設定なのか。
自分では判断しにくくなります。
3. 「できること」と「できないこと」の境界が見えない
独学では、自分ができるようになったことはよくわかります。
でも、まだ経験していないことは、自分では気づきにくいものです。
例えば、
「作品は作れる」
でも、
「自分の商品として販売できる」
とは限りません。
「Instagramに投稿できる」
でも、
「その投稿から購入につなげられる」
とは限りません。
「オリジナル作品を作れる」
でも、
「自分の世界観を一貫して表現できる」
とは限りません。
つまり、
技術的な「できる」が増えても、作家として必要な「できる」がすべて揃っているとは限らないのです。
4. 情報を集めるほど、かえって迷うこともある
今は、学ぼうと思えばいくらでも情報を集められます。
動画、SNS、本、オンライン講座など、たくさんの情報があります。
これは便利な反面、
「結局、私は何をやればいいの?」
という状態を生み出すこともあります。
Aさんは「まずSNS」と言う。
Bさんは「ブランド設計が大事」と言う。
Cさんは「とにかく作品数を増やすべき」と言う。
どれも間違いではありません。
でも、自分の現在地がわからなければ、何を優先すべきなのか判断できません。
情報不足ではなく、情報過多によって前に進めなくなることもあるのです。
5. 次のステージでは「知識」より「客観的な視点」が必要になる
独学である程度まで成長した人が、次に必要になるのは、
「自分を客観的に見る視点」
です。
自分では良いと思っている作品でも、第三者から見ると、
「誰に向けた作品なのかわからない」
「作品の魅力が伝わっていない」
「もっと強みを出せるのに」
ということがあります。
逆に、自分では当たり前だと思っていたことが、実は他の人にはない強みだった、ということもあります。
一人で考えていると見えないものを、誰かの視点を借りることで発見できる。
ここに、独学の次の学びがあります。
6. 「教えてもらう」のではなく、「整理してもらう」
ここで大切なのは、
独学をやめて、すべてを誰かに教えてもらうことではありません。
むしろ、これまで自分で学んできたからこそ、次の段階では「知識を増やすこと」より、
- 今まで学んだことを整理する
- 自分の強みを見つける
- 足りない部分を明確にする
- 優先順位を決める
- 実際に行動してみる
- 結果を見て修正する
ということが重要になります。
つまり、
「教えてもらう」から「自分で考えて選べるようになる」へ。
学び方そのものが変わっていくのです。
7. 独学で頑張った経験は、決して無駄ではない
次の壁にぶつかったからといって、
「独学ではダメだった」
ということではありません。
むしろ、自分で調べ、試し、失敗し、工夫してきた経験は、作家として大きな財産です。
ただ、その先には、
一人で頑張るだけでは見えにくい領域がある。
ということです。
それは、
「自分の作品をどう位置づけるか」
「誰に届けるのか」
「どんな価値を提供するのか」
「どうすれば選ばれるのか」
「どうすれば仕事として続けられるのか」
という、技術の外側にある部分です。
8. まとめ
独学で頑張ってきた人ほど、次の壁にぶつかるのは、能力がないからではありません。
むしろ、
「自分で学べる力」がある程度身についたからこそ、その先にある課題が見えてくるのです。
独学の次に必要なのは、さらに情報を集めることではありません。
今まで身につけてきたものを整理し、
「私は何ができるのか」
「何が足りないのか」
「どこへ向かいたいのか」
を明確にすること。
そして、自分一人では見えにくい部分については、第三者の視点を借りること。
独学で積み上げてきたものを土台にして、次のステージへ進む。
そのための学びが、作家としての成長には必要なのです。
Ⅴ 作家活動を「趣味」から「仕事」に変えるということ
「いつかマクラメを仕事にしたい」
そう思って作品を作り始める人は、少なくありません。
最初は、好きなものを作ることが楽しくて、少しずつ技術を覚えていく。
作品が完成すると嬉しい。
誰かに「素敵」と言ってもらえると、もっと嬉しい。
そして、
「これを販売できたらいいな」
「自分の作品で収入を得られたらいいな」
と考えるようになります。
ここからが、作家活動を「趣味」から「仕事」へ変えていくスタートです。
ただし、趣味と仕事の違いは、単純に「お金をもらうかどうか」だけではありません。
自分が楽しむために作るのか。
誰かに価値を届けるために作るのか。
この視点の違いが、作家活動を大きく変えていきます。
1. 趣味では「自分」が中心になる
趣味として作品を作るときは、
「これを作ってみたい」
「この色が好き」
「このデザインがかわいい」
という、自分の気持ちが出発点になります。
それでいいのです。
むしろ、好きだからこそ夢中になれる。
好きだからこそ、何度も作ってみたくなる。
この「好き」という気持ちは、作家活動の原点でもあります。
しかし、仕事として作品を届けるなら、そこにもう一つの視点が必要になります。
それが、
「この作品を必要としている人は誰なのか」
という視点です。
2. 仕事では「相手」が中心になる
仕事として作品を販売するということは、
「自分が作りたいものを作って終わり」
ではありません。
その作品を見た人が、
「これ、欲しい」
「私が探していたものだ」
「この人から買いたい」
と思えるところまで、価値を届ける必要があります。
そのためには、
- 誰に届けたいのか
- どんな悩みや願いがあるのか
- どんな場面で使ってほしいのか
- その作品を持つことで、どんな気持ちになってほしいのか
を考えることが必要になります。
つまり、
「自分が作りたい」から「相手に届けたい」へ。
視点を変えることが、仕事への第一歩です。
3. 「売れるものを作る」と「自分を曲げる」は違う
ここで、
「お客様が欲しいものを作らなければいけないなら、自分の好きなものは作れないの?」
と思うかもしれません。
でも、そうではありません。
むしろ、作家として長く活動するなら、自分の「好き」や「感性」は大切にするべきです。
大切なのは、
「自分の好き」×「誰かにとっての価値」
を考えること。
自分の世界観を捨てるのではなく、
「この世界観を、どんな人に届けたいのか」
「この感性を、どんな価値として受け取ってもらえるのか」
と考えていくのです。
4. 作る以外の仕事も、作家活動の一部
趣味の場合、作ることが楽しくなければ、そこでやめても構いません。
でも、仕事として続けるなら、制作以外にも必要なことがあります。
例えば、
- 商品を考える
- 価格を決める
- 写真を撮る
- 商品説明を書く
- SNSで発信する
- お客様とやり取りする
- 販売する
- 売上を管理する
- 次の商品や販売方法を考える
こうしたことも、すべて作家活動の一部です。
「私は作ることが好きだから、販売や発信はやりたくない」
という気持ちもあるかもしれません。
でも、そこを誰かに届けるための仕事として捉え直すことができれば、少し見え方が変わります。
発信は「自分を売り込むこと」ではなく、作品の魅力を伝えること。
販売は「無理に買ってもらうこと」ではなく、必要としている人に届けること。
そう考えれば、制作以外の仕事にも意味を見つけられるようになります。
5. 仕事にするなら「続けられる形」を考える
一時的に作品が売れることと、作家として仕事を続けられることも違います。
たくさん作れば売れる。
安くすれば売れる。
SNSを毎日投稿すれば売れる。
必ずしもそうとは限りません。
大切なのは、
自分が無理なく続けられる仕組みをつくること。
制作にどれくらい時間を使うのか。
どんな販売方法が自分に合っているのか。
どのくらいの売上を目指すのか。
どんなお客様と関わっていきたいのか。
自分の生活や時間と、作家活動をどう両立させるのか。
こうしたことまで考えて初めて、作家活動は「仕事」として形になっていきます。
6. 「仕事にする」とは、プロになることではない
「仕事にする」と聞くと、
「もっと上手にならなければ」
「プロとして完璧でなければ」
と思う人もいるかもしれません。
でも、最初から完璧である必要はありません。
小さく販売してみる。
一つ売ってみる。
お客様の反応を見てみる。
改善してみる。
また販売してみる。
そうやって少しずつ、
「作る」→「届ける」→「売れる」→「改善する」
という経験を積み重ねていけばいいのです。
仕事としての力は、実際に動きながら身についていきます。
7. 趣味と仕事の間には、たくさんの段階がある
実際には、
「趣味」か「仕事」か。
そんな二択ではありません。
例えば、
好きで作る
↓
人に見てもらう
↓
作品を販売してみる
↓
継続的に販売する
↓
自分のブランドをつくる
↓
売上を安定させる
↓
作家活動を仕事として育てる
というように、いくつもの段階があります。
だから、
「まだ売上が少ないから、私は作家ではない」
と考える必要もありません。
今どの段階にいるのかを知り、次に必要なことを一つずつ身につけていけばいいのです。
8. まとめ
作家活動を「趣味」から「仕事」に変えるということは、
単に作品に値段をつけて販売することではありません。
自分の技術や感性を使って価値を生み出し、それを必要としている人に届けること。
そして、その活動を無理なく続けられる仕組みにしていくことです。
趣味のときは、
「私は何を作りたい?」
が中心だったものが、
仕事にしていくと、
「私は誰に、どんな価値を届けたい?」
へ変わっていきます。
この視点を持てたとき、作品づくりは単なる「ものづくり」ではなくなります。
あなたの感性や技術そのものが、誰かの暮らしを豊かにする価値になる。
そして、その価値を届けることが、作家としての仕事になっていくのです。